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第8話 死に戻り

作者: フクロウ
last update 最終更新日: 2025-11-04 20:07:26

 フリーダは、驚いたように口をパクパクさせながらもティーカップを口に運んだ。そして、心を落ち着かせるように紅茶を飲むと大きく息を吐く。

「──意味がわからないわよ。だけど、初対面のはずなのに誰にも話していない私の目的を知っている……あなたに『なにか』があったってことだけは、わかるわ」

「それだけわかってもらえれば、今は問題ない。……念のため聞くが、私のことは知らないという理解でいいか?」

 大きくうなずくと、フリーダの赤い髪が揺れた。

「初対面に近いわね。牢屋に忍び込んだときに一度、今で二度目よ」

 ふふん、と偉そうに目を閉じて微笑むが、なんで賊なのにそんな態度なんだ?

「一応、忠告しておくが自分の立場はわかっているか? 看守から温情をもらっているようだが、城に忍び込んだ事実は変わらない」

「ふーん、罪人ってこと? でも、よくわからないけどあなたは私を頼ってるんでしょ? 協力するなら罪はなくしてほしいんだけど」

 挑発するようにフリーダの瞳が揺れる。

「……罪人か。それは、私のことかもしれないな」

 この記憶が本当なら、王子を殺したのは他でもない私だ。

「なに、急に?」

「いや、なんでもない。罪をなくすことはできないが、上と掛け合ってみよう。だから、協力してほしい」

「なーんか釈然としないけど、まあ、いいわ」

 フリーダは強気に笑うと、紅茶に口をつけた。

 かわいい顔をしているけど、こいつを王子に近づけさせるわけにはいかない。前の記憶のときだって、王子に魔法を教える大役をちゃっかり担って、毎日王子にくっついて手や腕や胸をペタペタペタペタと触りイチャイチャと──こいつは要注意人物。王子の身が危ないって──。

 ああ、もう。それどころじゃない!

 左右に頭を振って嫌な記憶を振り払った。

「そう言えば、まだ名乗ってないんじゃない、王子の秘書官さん。私のことは知ってるみたいだけど」

「ああ、そうだった。私はティナ。ティナ・アールグレン。王子の傍に仕える王子のための剣だ」

「固っ! 肩書も態度も固すぎ!! もっとかわいらしく乙女な感じのやつがいいんじゃないの~?」

 こいつ……! 人が一生懸命考えた台詞を小馬鹿に……!! いや、そうだ。こいつはこういうやつだった。

 フリーダの顔がにやついている。もしかして、こっちの反応を楽しんでいるのか?

 くっ。振り回されたら終わりだ。

「それで、今の状況についてだが──」

 私は昨日の成人の儀から今日までの出来事を伝えた。記憶が重なっていること、これから起こる「未来」を覚えていること、記憶の通りに出来事が進むこと。

 私が説明している間、フリーダは茶々を入れたりせずに真剣な面持ちで話を聞いてくれていた。私が話し終えると同時に、口を開く。

「それは、たぶん【死に戻り】ね」

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